SONYから新しいコンセプトの製品が発売された。
同社製αシリーズのカメラ等と組み合わせて使用するポータブルデータトランスミッターという位置付けなのだが、Androidを搭載しているXperiaベースのデバイスということで、多岐に渡る用途が想像されており、発売前から期待する声が多い製品である。
今回は、SONY PDT-FP1を使用して、docomo 5G SAのエリアで通信の検証をしてきたので紹介する。
外装紹介
フロントはただのスマートフォンのようだが、今どきありえないベゼルの太さである。
まるでゴツいケースに入っているかのような見た目をしている。
質感はカメラによくある感じのもので、金属製ではないが加工されており傷が目立ちにくいような道具感が演出されている。
裏面には、12MPのカメラ(eSIM設定用)と、本体冷却用のファン、LANポートに、USB Type-Cが2ポート、HDMIの入力端子が1つある。HDMIの下にあるのはストラップホールで、大きめでしっかりした造りになっている。
スペック
メーカーサイトからの引用だが、スペックは下記の通りとなっている。
なおメーカー公式サイトのスペックページはこちらである。
https://www.sony.jp/ichigan/products/PDT-FP1/spec.html
基本仕様 | ||
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サイズ(高さ×幅×厚さ) | 約 170 mm x 80 mm x 26.6 mm | |
重量 | 約 308 g | |
OS | Android(TM) 13 *1 | |
CPU | Snapdragon(R) 8 Gen 2 Mobile Platform *2 | |
内蔵メモリ(RAM/ROM) | 8 GB / 256 GB *3 | |
外部メモリ | 最大 1 TB (microSD/microSDHC/microSDXC) *4 *5 | |
バッテリー | リチウムイオン電池(5000 mAh) | |
2Dコードスキャナー(二次元コード読み取り用) | ○ | |
SIM | nanoSIM / eSIM *6 | |
デュアルSIM仕様 | DSDS | |
Bluetooth | Bluetooth(R) 5.3 wireless technology | |
ディスプレイ | OLED (1080×2520), 6.1インチ | |
スピーカー | ○ | |
GPS | A-GPS, A-GLONASS, Beidou, Galileo, QZSS *7 | |
ネットワーク | ||
Wi-Fi(R) | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax, 2.4/5/6GHz *7 | |
Wi-Fiテザリング接続可能台数 | 最大 10台 | |
対応バンド(4G) | 1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 11, 12, 13, 17, 18, 19, 20, 21, 25, 26, 28, 29, 30, 32, 34, 38, 39, 40, 41, 42, 46, 48, 66, 71 *8 | |
対応バンド(5G Sub6) | NSA: n1, n2, n3, n5, n7, n8, n20, n25, n28, n30, n38, n40, n41, n66, n71, n77, n78, n79 *8 SA: n1, n2, n3, n5, n7, n8, n20, n25, n28, n38, n40, n41, n48, n66, n71, n77, n78, n79 *8 |
|
対応バンド(5G ミリ波) | n257, n258, n260, n261 *8 | |
最大スループット(5G) | アップリンク:最大 1.1 Gbps / ダウンリンク:最大 8.1 Gbps *9 *10 | |
入力端子 | ||
USB Type-C(TM) 端子(データ転送) | USB Type-C(TM) (SuperSpeed USB 5 Gbps (USB3.2)) | |
USB Type-C(TM) 端子(CHARGE) | USB Type-C(TM) | |
HDMI(R)端子 | Type-A: <YCbCr 4:4:4/4:2:2/RGB> 3840×2160 (60p/50p/30p/25p/24p), 1920×1080 (60p/50p/30p/25p/24p), 1280×720(60p/50p/30p/25p/24p), 720×480 (60p), 720×576 (50p), 640×480 (60p) | |
LAN端子 | 10BASE-T, 100BASE-TX, 1000BASE-T | |
冷却ファン | ||
タイプ | DCファン | |
ファンの厚さ | 約 5.0 mm | |
ファン流量 | 約 51 L/min *11 | |
ヒートシンク | ||
サイズ | 約 37.15 mm x 19.3 mm x 7.3 mm | |
電源 | ||
給電 | 〇 (USB Power Delivery) *12 | |
充電時間 | 約 115 分 *13 *14 | |
連続動作時間(LTE経由のFTP転送時) | 約 4 時間 *15 *16 | |
連続動作時間(HDMI経由のビデオアップロード時) | 約 2 時間 *16 *17 | |
連続待受時間(LTE使用時) | 約 600 時間 *16 *18 | |
連続待受時間(5G SA使用時) | 約 450 時間 *16 *18 | |
その他 | ||
使用温度範囲 | 0 – 40 ℃ | |
付属品 | ||
付属品 | – |
*1 Android(TM) は Google LLC の商標です
*2 Qualcomm とSnapdragonは 米国およびその他の国々におけるQualcomm Incorporatedの登録商標です
*3 ファームウェアやプリインストールされたアプリが内部ストレージを一部使用するため、残容量がユーザー容量としてご利用可能です。内蔵容量の測定は商品発表時段階のものであり、使用可能容量は国やエリアにより異なります。また、ソフトウェアアップデートにより、残容量が変化する場合があるため、使用可能なユーザー容量は異なります
*4 別売り
*5 microSD, microSDロゴ, microSDHCロゴはSD-3C, LLCの商標です
*6 国、地域及びキャリアによってeSIMサービスのご利用条件は異なります
*7 国及び地域によってご利用いただけない場合があります
*8 国、地域、キャリア、ソフトウェアのバージョン及びユーザーの使用環境によってご利用いただけるバンドは異なります
*9 理論値。実際の性能は環境や条件により異なります
*10 実際のスループットはネットワーク状況により異なります
*11 ソニー測定環境における測定値
*12 ソニー製の充電器とケーブル(XQZ-UC1)を推奨します
*13 30W 急速充電に対応している別売りACアダプター(XQZ-UC1)使用時
*14 実際の充電時間は設定や環境によって異なります
*15 File転送としてTransfer&Taggingアプリを使用時。ソニー調べ
*16 実際の動作時間は設定や環境によって異なります
*17 ビデオアップストリーミングとして外部モニターアプリを使用。ソニー調べ
*18 GSMA TS.09動作時間測定方法(Ver.12.0)に基づいて測定、ソニー調べ
5Gの通信速度を確認
今回はdocomo 5GSA対応のエリアに行って通信速度を確かめてきた。
通信速度はDLで2.3Gbpsから2.53Gbps程度。ULは509Mbpsから639.89Mbpsほどであった。
なお、いずれもミリ波を掴んでおらずSub-6のSAとなる。
体感的に、SAMSUNG Galaxy S23 Ultraよりも電波のつかみが良いと感じており、専用機だけはあるといった印象を持った。
ミリ波接続について
本製品は、n257などの28GHz帯の5G通信にも対応している。
テストの結果、ミリ波についても問題なく接続が行えた。
ただ、docomoのネットワークの問題か、通信速度はそこまで高速ではなかったのが残念である。
Wi-Fiテザリング機能について
こちらはGalaxy S23 Ultraにて、PDT-FP1のWi-Fiテザリングを検知している状態の様子。
2.4GHz帯のみ使用するという項目のチェックを外せば、5GHz帯域での通信が可能であった。
11axの80MHz幅で使えており、リンクスピードは1.1Gbpsであった。
5GHz帯域を使う場合に留意してほしいのは、「まずは2.4GHzを出力し、DFS機能で気象レーダーに影響が無いかPDT-FP1が確認をした後に5GHz帯が出力され、気象レーダーを検知した場合や、一定の条件で2.4GHz帯に戻る。問題がなければ自動的に5GHz帯に戻る。」ということだ。
5GHzを固定したり、2.4GHzと5GHz帯を同時に使用してのテザリングはできない。
また、Wi-Fi 6Eによる6GHz帯域でのテザリングもできない。
LANポートについて
LANポートは、PCや自宅ルーターに繋ぐことでPDT-FP1のモバイル回線を使用したインターネット回線の提供ができる。
筆者は試しに、自宅の光回線で使用しているWi-FiルーターのLANケーブルをPDT-FP1に接続をし、イーサネットテザリングをオンにした。すると自宅のWi-Fiルーターからdocomo 4G回線のインターネットに繋ぐことができた。
引っ越しの期間であったり、光を引くことができない環境においては、これをメイン回線として使用することも問題ない。
購入するに当たり、自分が気になっていた箇所についてはこんな感じである。
製品の詳しい仕様や価格などについては、メーカー公式サイトなどを参考にされることをおすすめする。
筆者はPDT-FP1をかなり気に入っており、15万円弱の本製品は安いとさえ感じている。
通信の安定性や、ファン搭載による排熱処理など、近年稀に見る高性能なルーターであると考えている。
本製品はあくまでもSONY αシリーズ用のカメラアクセサリであり、ポータブルデータトランスミッターという位置付けにあるが、私はカメラ用外部モニター兼Wi-Fiルーターとしての使用をメインに考えている。